その人が何をやりたいか、どのように英会話を学習したいかによって変わってくるので、例えばカランメソッドのような特殊なことをやりたいというのであればDMM英会話はおすすめできませんが、そういうことでなければ、総合的にみてDMM英会話になってしまいます。
本当は私はDMM英会話はあまり好きではありません。それはDMM英会話のしたたかさに不安を感じているからです。そのあたりのことについては後述するとして、まずはいいところから書いていきます。
講師にはフィリピン人だけでなく、リトアニアやボスニア・ヘルツェゴビナ等、あまり馴染みのない国の人もおり、フィリピン人とは異なるなまりを経験したり、その国の文化を知る機会になります。
講師の個性によりますが、楽しくレッスンできる人が多いです。楽しいというのは英会話を続ける上で、とても大切なことです。
レッスンが終わると講師からレッスンノートをもらえます。とは言ってもそのメッセージはコピペが少なくありませんし、センテンスや単語はどうせ復習しませんから必要ないかもしれません。講師は時間節約のためレッスン中に書いていたりしますし、そうでなければ残業しなければならなくなりますから、どうせ使わないものに対して講師に負担を課すのは個人的にはいらないと思っていますが、そういうことを求める人には意味があるかもしれません。
予約やお気に入り講師の登録等、システムの基本的な部分も若干使いにくい面があるにせよ、概ね良いと思います。
レッスンごとに生徒から講師への評価コメントが入力できて、講師のプロフィール欄に掲載されます。スタッフがチェックはしているようですが、ネガティブな内容であっても普通に掲載されます。この手のフィードバックはあっても現実には何にも活かされないのが普通ですので、ほとんど無条件で掲載する運用はせっかくのコメントを活かすもっとも適当な方法であると思っています。
レッスン教材としてPDFのオリジナルテキストが用意されていますし、TOEICや瞬間英作文等の提携教材を使うことができます。これらは時々追加される等、増強を継続的にしているのはいいことです。
もちろんアーティクルやフリートークも可能です。
講師側からキャンセルされた時には、解約するまで使えるレッスンチケットが発行された上、当日以内であればキャンセルされた分のレッスンで再予約ができます。これはDMMが一回分のレッスンを損するようになっていて、ちゃんと自社にペナルティを科しています。当日予約の権利を行使しなければ、そうはなりませんが、それでも先行予約に使い良いレッスンチケットがもらえています。
マニラのマカティ、セブ、ダバオの3箇所にあるオフィスからレッスンしている場合と、講師の自宅からレッスンしている場合があります。オフィスの場合、回線や機材の安定性、環境という面でメリットがあります。自宅講師はそういう点では劣ることがありますが、講師の家族が登場したり、周辺の騒音も話題にできるのは、ある意味楽しいことかもしれません。
DMM英会話にとりたてて大きな問題はなく、一般的なオンライン英会話として誰にでもおすすめできます。
さて、当然ながらどのスクールであっても完璧ということはなく、まだ途上と思われる事項がないわけではありません。
講師のクオリティは高くありません。しかしもともとどこでもオンライン英会話スクールのフィリピン人講師のクオリティは高くありません。これも何を持って良いと言うかは見方によりますので、人によって合う合わないということになりますが、悪く言えば寄せ集めなのではないかという気がしています。DMM英会話自体まだ新しいスクールですし、広告とキャンペーンによって一気に大量の生徒を集めている経緯があり、それに応えるための講師も雇わなければならなかったわけですが、そうなると、採用にあたって講師を選り好みする余裕が制限されるように思います。どこのオンライン英会話スクールでも講師採用率何パーセントとか言っていると思いますが、母数が何かとか、いつ、どこでの数字かとか、よく分かりませんし、結局そういう数字はなんとでも言えてあてになりません。ですから、それでもって講師の品質がいいという保証にはなりません。
講師のトレーニングも、どうやら入念ではないようです。とういうかろくにやっていないと思われます。実際のところ他社の経験があるような講師には不要だろうとは思いますが、講師のスタンスとしてはパート、アルバイト感覚だということです。
私に言わせればトレーニングなんて下手にしてもらわないほうがいいのですが、普通の日本人生徒はどう思うか分かりません。
オフィス勤務ということですが、オフィスを持つ他社オンライン英会話スクールと比較すると講師間の横のつながりは薄いようです。オフィスといっても自宅に代わる場所貸しをしているだけで、講師は四方を壁で囲まれたブースの中で孤独に仕事をしており、講師間で親しい関係にはなりません。ミーティングが定期的に開催されているようなこともなく、組織的な運営は期待できません。
あくまで自宅の延長線上にあるオフィス勤務ということであって、オフィスであることのメリットはインフラのみという感じです。
契約プランは毎日1回から毎日3回の3通り用意されています。毎日最大3回というのは足りません。複数アカウントを作ってもいいですが、割高感を感じるため最低4回以上のプランは用意しておいた方がいいと思います。
最後に、DMMのキャンペーンについてですが、当初は月額980円で華々しく開始し、現在は半額を継続実施中です。生徒にとって安いのは単純にありがたいことに思えますが、いつ終わってくれるかと思っている他社は、毎月毎月キャンペーン期間が引き伸ばされるたびに忌々しく感じているのではないかと思います。
グループ全体で売上1000億円とも言われるDMMから見れば、規模から考えてオンライン英会話事業の赤字は大したことありません。けっして無料でやっているわけではないので、生じる赤字幅もむちゃくちゃ多いわけではありません。オンライン英会話を専門でやっている他社では、そこにしか収入がないため、このような戦術には追従できません。さらに円安や消費税増税がかぶさって、いっそう厳しい状況が思い浮かびます。
幅広い業界で事業を展開するDMMは、これまでにも熾烈な競争を経験してきているでしょうから、えげつないほどに強かです。マーケティング戦略的に見れば、DMMは圧倒的多数のシェアを獲得するまでキャンペーンを続けるでしょう。つまり、現在最大シェアであるレアジョブを撃沈するつもりです。レアジョブがどうにか資金を調達してDMMの価格というアドバンテージを無効化しようとしても、バックからの補給が絶えないDMMは際限なくキャンペーン期間を延長してきます。周辺システムを改良する等、差別化を考案しても、所詮オンライン英会話の本質は25分間のレッスンですから、たいしたインパクトは与えません。有名大学出身講師の在籍や、未だシェアNo.1で老舗であるといった強みも活かせていません。レアジョブがDMMが真似のできない画期的な差別化の方法をこれから発明するなんて望みはあるでしょうか。
DMMが圧倒的多数のシェアを獲得した暁には、通常価格に戻しても、もはやDMMに立ち向かえる相手はいなくなっています。巨大なバックという対抗不能な核兵器を持つDMMに対して、核を持たないオンライン英会話専業会社は勝てません。同様の核を持つ資本が参入すれば可能ですが、消耗戦をするほど価値のある市場に見えるかは分かりません。
DMMが通常価格に戻したら、他社に乗り換えるつもりでいても、もうそのころには他社は弱体化しきっています。特にメリットがなければ、わざわざ移る人はいません。
DMMにしてみれば、万一、英会話事業がコケても、事業多角化の一貫としてやっていることですからその中には当然失敗するものも想定していますし、会員獲得や知名度向上に一定の効果があったとして、それはそれで得るものがあったと言えるでしょう。DMMオンライン英会話のウェブサイトを使っていますと、どこのページを開いてもずっとついてくる動画やオンライゲーム等他事業へつながる上部メニューを見ていてそう感じます。
とは言え、これからオンライン英会話を始める人にどこのスクールを勧めるかといえば、無難にいけば、やはりDMM英会話となってしまいます。
世の中どうなるか分かりませんし、これも市場の原理ですから、仕方ないのですが、将来的に競争原理が働きにくくなって、価格はいいとしても、レッスン内容やユーザーサポート等、細々したところに品質低下するようなことがないことを願うところです。
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