2013年7月27日土曜日

オンライン英会話のカランメソッド効果は評判どおりか?

本当は残念なのです。カランメソッド。これがいい英会話の練習方法なら素晴らしいことだと思うのですが・・・実際はそう思えないのです。
もし興味がありましたら、以前にQQ Englishのカランメソッドを体験したときの記事を書いたことがあるので、そちらもご参照ください。

今、オンライン英会話サービス各社を見ていると、カランメソッドやらその発展型のDMEを売りの一つとしているところが結構あります。
こういう何々メソッドとか命名された英会話の書籍や教材をときどき見かけますが、そういうもので期待された効果があるものは見たことがありません。
結果が出るまでに、非現実的な根気を要するとか、あまりにもつまらなさすぎて挫折してしまうような方法は、実質的には効果のある方法とは言えません。

最近、もてはやされていて、今、まさに実行されている方もいるかもしれないものを、否定的な観点から記事を書くというのは、挑戦的な気がしないでもないですが、後々になってから意味がなかったと言わなくていいように、こうした意見もあるということを認識いただいておければと、おせっかいながら書いているところです。


カランメソッドに効果がない理由

カランメソッドというのは、自由に英会話するのではなく、決められた通りのことだけをしゃべります。
講師が決められた質問をし、それに生徒が決められた回答をします。原則、フリートークはありません。単調なおもしろくもない作業を高速に延々と続けます。
はじめのうちは物珍しさもありますから張り切っていますが、興味を失ったあとは、ただ先のステージへ進むことだけが目的の退屈なレッスンとなります。
カランメソッドのテキストの中身
カランメソッドに効果があると仮定しても、数ヶ月程度で結果の出るものではありません。年単位ではないかと思います。あの単調でつまらないレッスンを何年もかけてやり続けるなんてことを想像すると、なかなかに忍耐のいることではないかと思います。
最新のカランメソッドにはステージ1から12まであります。これをコンプリートできる人はどれくらいいるでしょうか。それに、そもそも最後までやったとして話せるようになるのでしょうか。
実際、最後まで我慢できる人は多くないのではないかと思います。ほとんどの人が到達できないような目標ならできないのと同じ事です。仮に100人やって数人しか達成できないのなら、大部分の人にはできないということです。そういうのは実質的には、できるとは言えません。わずかしかできないということは、なんらかの限定された条件が必要とか、非人間的な我慢に耐えられる能力が必要だということです。カランメソッドの苦痛に耐え切れない人は英語を学習する資格がない、と言われれば、大部分の人にとって実用的でない学習方法と言わざるをえません。
日常生活の中で何か電化製品や生活雑貨等の商品を買うとして、それが期待した機能を果たせる可能性が数%しかないとしたら、私は購入を躊躇します。カランメソッドについても成功率が低いのであれば同じ事を思います。


けなげなカランメソッドの講師

カランメソッドを実施する講師はそれが仕事ですから、一所懸命にやってくます。講師が汗水垂らしてヒーヒー言いながらがんばってくれることと、そのメソッドに意味があるかというのは別問題です。心情的には、せっかくやってくれていることに意味がないとは言いにくいですし、もちろん実際に講師には言わなくてもいいですが、本当はどうかということとは分けて考える必要があります。
それより、ある意味講師も被害者かもしれません。
また、講師の中には本音を漏らす人もいます。


カランスクール本校とオンラインスクールは同じでない

カランメソッドを開発したカランスクール本校はイギリスにあります。
オフィシャルウェブサイト
 イギリスは英語発祥の地であり、言うまでもなく英語が日常的に使われている国です。そうした地でカランスクールに通う学生は、その地にいるというだけで、すでに英語を話せるようになる優位な環境にあることになります。カランメソッドを使うまでもなく、英語を話せるようになりえるわけです。ですからカランスクール本校で効果があるように見えても、他の環境で同じように結果が出るかは分かりません。

実際のカランメソッド本校の運用では、毎回、レビューを何日分だったか遡って実施するそうです。一回やっただけではすぐに忘れてしまうからでしょう。しっかりと定着させるために、何回も繰り返しレビューするというのは、意味のあることかもしれません。
一方、オンラインで実施する場合には時間的制約があります。QQ Englishの場合はレビューは一回分のみでした。当然、その程度の練習量ではできるようにならないため、多くの場合、生徒は単に講師の後に続いてリピートするだけになってしまいます。自分でセンテンスを考えず講師が言った通りのことを反復するだけでは、いつまで経っても自分でセンテンスを考えられるようにはなりません。

オンライン英会話の講師は、毎日出勤して、30分おきに代わる代わるスカイプ越しに登場する生徒に対して、一日中レッスンをします。講師にとってカランメソッドのような教授方法は、ひとつひとつ片付けていくという感覚かもしれません。


カランメソッドは英語ビジネス

カランメソッドをするには専用テキストを購入しなければなりません。オンラインレッスンをするにも費用がかかります。
カランメソッドステージ1のテキスト
オンライン英会話スクール自体がビジネスですが、カランメソッドというのは本当にビジネスライクなビジネスです。他スクールとの差別化になりますし、講師のティーチングスキルも不要で、生徒が挫折するまでの数十レッスン分をこれで稼ぐことができます。


ただ純粋に感じるだけ

日本人の特徴かどうか分かりませんが、他人の意見に流され過ぎます。
他人が良いと言えば、良いと思い、権威を持った人が正しいと言えば、正しいと思い込みます。言っている内容がどうかではなくて、誰が言っているかで正否を判断します。
それは考える力がないからか、勇気がないからか、そういう生き方なのかは分かりませんが、そうした思想の正否は問わないとしても、他人の意見に追従していたからといっていつも正しい答えになるとは限りません。もちろん他人の良い部分を手本にするとか、確率的に他人が良いと評価したものの方が好結果になる可能性が高いかもしれないとか、多数派になることがリスクの回避になるということ等はあります。しかし、カランメソッドのこの話に限って言えば、個人で学習するものですから、そうしたメリットは関係ありません。自身にとって結果が得られるかどうかだけです。
もちろん、このブログにしたって、一個人の感想に過ぎません。もっと言うとインターネット上の情報すべてがそうです。
私も、カランメソッドについての肯定的な評判をいくつも見たことがあります。それを承知の上で、鵜呑みにすることなく、正直な自分の考えを持っているだけのことです。

カランメソッドの広告を見れば、分かりやすい売り文句がいろいろ書かれています。そういうものは、一見、理屈が通っているように見えます。
例えば、カランメソッドでTOEICのスコアが平均XXX点上がったというようなものがあったとします。カランメソッド開始前後で複数の人のスコアを測定し、実際に上昇していたとすれば、しかもその評価方法は外部による客観的なものですので、それだけ聞くと効果があるような気がするかもしれません。しかし、よく考えてみてください。カランメソッドは数ヶ月単位の期間行うものです。その間に他の学習を並行して行なっているかもしれません。
カランメソッドの純粋な効果を測定するのであれば、カランメソッドだけを学習するグループと、カランメソッド以外の比較対象とする方法で学習するグループに分けて、一定期間それぞれの方法のみで学習させるようにしなければなりません。これであれば、同じ時間をカランメソッドに費やすのが良いか、それとも他の方法で学習するのが良いかが分かりやすいです。ただし、この場合であっても比較対象の学習方法との相対差しか分かりません。比較対象の学習方法を用意するのは、カランメソッドの優位性を証明するためです。何もしないことと比較するのであればたとえカランメソッドでも多少の進歩は起こりえるからです。
もっとも私はTOEICのスコアに興味はありませんが、あくまで売り文句というのはどこまで信用できるか分からないということを言いたいのです。広告の売り文句は有効性を分かりやすく宣伝しますが、分かりやすいからといって真に受けることはできません。


それならとにかく一度やってみてください

それでも興味がある方は、是非、ご自身でやってみて実感してみてください。
はじめにテキストの購入が必要かもしれませんが、最初の一冊だけなら、せいぜい数千円です。仮にカランメソッドが本当に良くないものだったとしても、その程度の被害で済みます。やってみて、ずっと継続してやっていけそうなものか考えてみてください。
私の場合は実際にやってみて、これは違うなと悟りました。
是非一度やってみて、正直に判断していただければいいと思います。

こんなことに時間と費用を消費していては、上達が4倍速どころか、4倍遅れます。
何年か経った頃、「昔、カランメソッドなんていうのがあったけど、どこ行った?」なんて言っていることになるような気がします。
カランメソッドに関して調べているといろいろテクニカルな話を見かけると思います。スピーキングスピードがどうだとか、フルセンテンスがどうしたとか・・・。そんなこと関係ありません。それ以前の話で、単純におもしろくないものを何年もどうやってやり続けられますかという簡単な話です。どんなに技術的に優れていても、現実にやり続けられないような方法は絵に描いた餅です。
この記事も難しく書いていますが、ただ本当に効果あると思いますか?という単純なことです。

オンライン英会話にぴったりのSkype録画録音ソフト

2013年7月24日水曜日

本音のおすすめオンライン英会話 QQイングリッシュの人気・講師・評判

私はQQ Englishというオンライン英会話スクールというのをやったことがあるのですが、どうも堅い感じであまり楽しくありませんでした。無料の充実したオリジナルテキストが用意されていたり、カランメソッドという特殊な英語の練習方法を提供しているのですが、皮肉なことにそうしたことがかえって英会話の練習をつまらないものにしているのかもしれません。QQ Englishはとてもよくできているのですが、なぜかつまらないのです。

QQ Englishの中でも、時にはテキストそっちのけでフレンドリーに雑談したりできるほどの柔軟な講師もいますが、大部分は型にハマったことしかできません。
大勢いる講師の中に、たまにいい人を見つけても、シフト変更になったり、我々には知ることのできないなんらかの事情で予約不能だったり、早朝の予約争奪戦に参戦しないとレッスンを確保できなかったりと、まともに利用することができません。
それに、もともと料金が高いことから、あまり多くのレッスンを受けることができません。そのことも講師との関係性が希薄になる要因のひとつでした。
インターネットのいろいろな評判を見ていても、どうも堅物なスクールという印象を受けます。
根本原因は、講師個々人の能力というより、QQ Englishのシステム的欠陥といいますか、商売重視の事業構造になっていることによるものかもしれません。それに変に企業気取りになっていて親しみを持てないのです。なんなら講師のデスクレイアウトやチーム構成、組織図、管理者や日本人スタッフまで顔を出したり、もっとオープンにしていいのではないかと思います。
英会話というものが、人間のコミュニケーションのためのものであるという基本的なことをすっかり忘れてしまっているのではないかとさえ思えます。
しかし、QQ Englishのようなスタイルが好きな人がいてもいいと思いますし、個人的には気に入らなければ関わらなければよいことです。私は、こちらのスクールを非難したいわけではなく、本当は英会話は楽しくできるもので、そうでないとすれば悲しく感じるというだけのことです。
それに実は稀にQQ English的には規格外れな講師もいますので、そうした講師を探し当てることができれば、楽しいかもしれません。

英語のレッスンは、うまくできないのが普通です。それは当たり前のことで、はじめからうまくできるのであれば、レッスンを受ける必要がありません。できないことに挑戦するからレッスンの意味があるのです。
私の場合、英語のレッスンを強制されているわけではなく、ただの一般の社会人です。仕事が終わった後や休日は、好きな事をして過ごすことができる自由があります。
小難しくて、できない英語のレッスンに挑戦することもできますし、ビールでも飲みながらテレビのバラエティー番組を見て過ごすこともできます。どちらでも好きな方を選ぶことができます。どちらを選んでも誰も何も言いません。
特に、仕事が終わって拘束された時間から開放された後は、英会話のレッスンを受けるのが面倒に感じることがあります。
ましてや楽しくない英会話レッスンとなれば、だんだん苦痛になってきます。

ですから、英会話というのは、何をおいても絶対に楽しくなければなりません。
英会話の習得にはとても時間がかかり、長く続けることが何よりも大切なのです。
このあたりことは以前こちらの記事にも詳しく書いています。
英会話に興味を持ち、新たに挑戦をはじめた人も、次第につまらなくなってきて、やめてしまうようなことがあるとすれば、私は英会話に取り組むものの一人として残念なのです。
長期的に見れば英会話ビジネスの業界にとってもマイナスだと思います。

今、私がやっている英会話スクールはそれなりに楽しいスクールです。前述の他スクールの経験から学んだ欠点とは真逆の状態のものを選択しました。
同じ講師で何度も受けることができて、柔軟なレッスンが可能で、たくさんのレッスンが受けられるように料金の安さも考えました。
そのスクールで、何十回と同じ講師でレッスンを受けていると、良くも悪くも講師と生徒がお互いに慣れてきます。
講師の態度も徐々に遠慮がなくなってきますし、こちらも同様です。
突っ込んだ話題になってきて、講師のプライベートや具体的な雇用環境、他講師や他生徒のこと、他スクールのこと、下ネタ、通常ではタブーとなりそうなことでも話題になります。
用意された教材はふざけてばかりで進みません。
人によっては、そのような形式のレッスンは不真面目で、勉強にならないと思われるかもしれません。
英会話スクールを経営する立場なら、講師の給料がいくらだとか、他生徒のプライバシーに関わるようなことをレッスン中に話題とするのは好ましくないと思うでしょうし、それが英会話のレッスンに必要なこととは到底思えないでしょう。
しかし、本音で気軽に話せる関係が作られていくと、レッスンを受けることが苦痛ではなくなってきます。気楽なので、なんの心配もいらないのです。セリフや話題に気を使わなければならないのだとしたら、沈黙にならないよう話題探しの心配ばかりしなければなりません。

何度も言いますが、レッスンが楽しいか、そうでないかというのは決定的な差です。
日常生活の中で、ふとその日の英会話のレッスンの予約を思い出した時、「また、今日もレッスンを受けなければならない」と憂鬱に思うか、「また、今日もレッスンを受けられる」と楽しみに思うかというのは、毎日の生活の重荷になるか励みになるかと言える違いです。
英会話というのは、がんばって勉強しなければならないものと思い込み、一生懸命やっただけ身につくと信じて、根性論のように、忍耐強くレッスンを受け続けるのだとしたら、なんて不幸で気の毒なのかと思います。
そういうのは学校の勉強だけでたくさんです。

はっきり言ってしまうと、オンライン英会話の講師が英語を教えることはできません(いや、ちょっと言い過ぎか)。
オンライン英会話の講師が文法を教えたりしていますが、英文法を知りたければ日本の書店や図書館に行けばいくらでも解説書がありますし、インターネットで検索すれば親切な解説サイトを無料で見ることができます。しかもそれらは日本語で書かれています。
あるいは、発音を教えてくれますが、今、本当に発音が知りたいでしょうか?本当は発音ではなくて、英語で会話ができるようになりたいのではないでしょうか?発音も結構ですが、それより言いたいことが言えるようになりたいのではないですか?
恐れずに言うと、オンライン英会話講師の本当の仕事は、英会話初心者の話し相手になってあげることです。つたない英語しか話せない人の練習台になることです。
そのような言い方をオンライン英会話の講師に言うとモチベーションを失うかもしれません。でも、目をそらさずに見れば、それが現実的です。

今、私がやっているオンライン英会話スクールでは、何名かの講師とざっくばらんな会話をしています。
例えば、ある講師によると、レッスンスケジュールがぎっしり詰まっていると、レッスンの間にわずかな休憩しかなく、レッスンのための十分な準備もできないので、ストレスを感じるようです。
また、カランメソッド等の教授方法に関する本音も聞けます。
他スクールで講師をしていた経験や、他スクールの講師と交友がある講師もいます。個性はあるにせよ講師も人間ですから、やはり講師の質の前に、スクールの方針によって楽しさが変わってしまうということだと思わされます。

今、どこかの英会話スクールを利用されている方がいるとしたら、本当に楽しいのかどうか、そのカリキュラムなり、学習メソッドはおもしろいのかどうかを、再度、ご自身に確認されてみてはいかがでしょうか。
余計なおせっかいではありますが、何かをコンプリートするためや、自身の選択を否定しないために、特定のやり方にしがみついていたりするのであれば、有効な時間の使い方をしていないかもしれませんし、あまり努力を要するようなら無理をせず楽に考えた方が長続きして幸せな気がします。

2013年7月23日火曜日

リモートデスクトップが無通信で切断されないようにする簡単な方法

ルータやゲートウェイの環境によっては、一定時間何も通信をしていないコネクションがタイムアウトになって切断される設定がなされています。
そのような環境でリモートデスクトップを使用していて、何も操作しないで放置していると勝手に接続が中断されていることがあります。
リモートデスクトップで操作を再開しようとすると、真っ黒の画面のまま再接続のため数十秒待たされてイライラさせられます。
簡単なアイディアで、これを回避することにしました。

リモートデスクトップではローカルリソースとして接続元PCのドライブを接続できます。



このローカルドライブにリモート接続先PCが定期的にアクセスするようにするバッチファイルを作成して、常時実行させておくことで無通信が継続しないようにします。具体的には以下のようなバッチファイルを作成します。

:loop
dir \\tsclient\c
ping -n 30 localhost
goto loop

上記4行をテキストファイルとして作成して、拡張子をbatにし、接続先PCで実行しておくだけです。


 
コマンドプロンプト画面を最小化しておけばあまり邪魔にはなりません。

このバッチファイルは30秒おきにローカルPCのCドライブのディレクトリ一覧を取得します。意味もなくディレクトリ一覧を取得することで通信を発生させています。
インターバルのためのpingコマンドの30の数字を書き換えれば、ダミー通信の間隔を調節できます。

これであなたのイライラが解消されれば幸いです。

2013年7月18日木曜日

オンライン英会話(スカイプ)で上達する効果的な勉強法

もったいぶらず始めに結論を申し上げますが、英会話を取り組むにあたってもっとも大切なことは何かと言いますと、楽しさです。
人によって様々な価値観や学習スタイルはありますが、私は「楽しい」ということが一番重要なことであると思っています。

私は英会話の学習をしていますが、すでに長期戦を覚悟しています。長期戦というよりは一生ゴールのないものかもしれません。少なくとも一定の満足いくレベルに達するにも、相当な期間を要すると思われます。

日本人が第二言語としてある程度の英会話力を習得するのに必要な学習時間は、研究機関やデータ、個人差等によって様々ではありますが、おおよそ数百時間から数千時間必要と言われています。
第二言語として英会話力を身につけている一例として帰国子女や海外で働いている人達がいます。そのような人たちが海外で生活していて、毎日3時間程の英語に触れていたとするなら、3年で3000時間になります。おそらくその付近まで来ると、それなりの英会話力になっているのだろうと思います。
一方、日本に住んでいて、日常生活でほとんど英語を使うことがない人がオンラインの英会話サービスのみを使用して英会話を学習するとすれば、3000時間に到達するにはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
一回のレッスンが約30分で、それを毎日やったとすれば、6000日必要ですから、16年以上かかる計算になります。
16年という歳月を見た時、私は、目標として置くには、いささか気の長すぎる話に感じます。
では、その他の学習方法を組み合わせたり、受けるレッスンを増やす等して、毎日1時間の学習時間に倍増させたとします。期間は半減し、それでもまだ8年かかります。
もっとがんばってさらに倍の一日2時間取り組んだとしたなら、4年です。現実には毎日休まず2時間英語をやり続けるのは難しいこともありますから、もう少し時間がかかるかもしれません。だとすれば5年くらいでしょうか。まだ長く感じますが、これくらいならなんとか希望を持って取り組める気がしないでもありません。

いずれにせよ、英会話をモノにするには、とても時間がかかります。


しかし、こうして英会話の学習に時間がかかることは、多くの英会話学習者に理解されにくい可能性があるのではないかと思っています。
どういうことかと言いますと、文法、語彙、発音等のテクニカルなことを学習すれば、英語を話せるようになるような気がするのではないかと思うからです。そうした要素は英会話の上達を強力に助けます。非常に役立ち、重要なことではありますが、会話力の本質ではありません。
文法を熟知し、あらゆる語彙を覚え、ネイティブ並の音を発することができたとして、それでも英会話ができるとは限りません。もちろん、現実の話としてそれらの要素を持つ人がいれば、当然に英語を話せる人であろうことを期待できますが、単なる喩え話として、英語をまったく話せない人が、突然そうした個々の要素を得たとしても、英語を話すことはできないということです。

私たちは日本語を話す時に、文法や単語の意味、発音の仕方をいちいち意識しません。頭の中で文を意識的に組み立てつつ話していたり、舌の位置を意識して話すような、間接的で歯がゆいことをしていません。
自然に話すというのは、頭で考えるのではなく、反射的に無意識にできるということであって、それが勉強という行為のもと、理解して、できるものだと勘違いしがちです。
英会話は理解し、知識として知っているだけでできるものではありません。
自分なりの言葉として定着するために、繰り返し使い、こなれていく過程が必要で、延々としたトレーニングがなければ、勉強したことも時間とともに失われていきます。


では長期間にわたる英会話のトレーニングとはどのようにすればいいのでしょうか。
それが「楽しむ」ということです。
言い方を変えれば、英語の勉強やトレーニングをする必要はありません。ただ英会話を楽しんでいればいいのです。


もうひとつだけたとえ話をします。
いかにもありがちな、こんな理屈があります。
毎日3つずつ単語を覚えるとしましょう。一年やりつづければ1000単語、三年経てば3000の単語を覚えることができます。
これはとても分かりやすい話で、理屈としては間違っていません。
現実は、三年経った時、古い単語はほとんど覚えていません。新しい単語を覚えると同時に古い単語はどんどん忘れていきます。覚えているのは、基本的な単語や、よく使うものだけです。
それならば、そうならないような策を考えるかもしれません。ある程度時間がたったら以前覚えた単語を引っ張り出してきて再暗記の機会を作るようなことをすれば良いのです。

とはいえ、覚えない=使わない単語を無理やり記憶してなんになるのでしょう。使う機会がないから覚えないのであって、使わないものをなんのために覚えるのか。もちろん、どんなことでも知らないより知っている方がいいに決まっています。ですが、そのために毎日、面白くもない丸暗記という作業を味わい続けるというのは、なにかの修行かと思えます。
単語を暗記する行為が好きな方でもなければ、こういう過重に根気のいる無意味なことはしないことをおすすめしたいです。

無理をしてがんばればストレスになりますし、長続きしません。せっかく無理に勉強したことも、どうせ使わなければ忘れます。
ですから、なによりも使うことが大切なのです。使うというのは英会話を実践するということです。英語で誰かと好きなことを話せば良いのです。それでこそ、その人に必要な単語や言い回しが、少しずつではありますが着実に身についていきます。


楽しくないことをすれば、英会話の学習を志半ばで挫折するかもしれません。それはそれまで蓄積した英会話の能力を無に帰することで、最悪の結末です。やめてしまえば英会話力は時間とともに急速に失われ、結局なんの成果も残りません。英会話の学習に挑戦した思い出だけが、遺産です。

英会話の習得は頭で考えるのではなくて、練習です。それはとても時間がかかるので、長い目で見る必要があります。長い期間続けられるためにはどうしても楽しくなければなりません。
目標を達成するためにがんばるのではなく、今現在を楽しむという姿勢が一番です。時間が経ったころ気がつけば結果的に目標が達成できている。そんな形が理想だと思います。