2013年12月5日木曜日

オンライン英会話のフリートークが怖い英会話初心者

英会話をまったくやったことがない人が、オンライン英会話でいきなり自由な会話、フリートークができるものでしょうか?
もちろんできるわけがありません。
それは英会話に限らずどんなことでも同じです。スポーツや仕事、趣味であっても、何か挑戦するとき、はじめからできるわけがありません。簡単にできることなら、挑戦する必要も価値もありません。できる、できないということを考えすらしません。

英会話をやって最初に困るのが、リスニングです。
会話以前に、そもそも相手が何を言っているのかすら分かりません。
部分的に聞き取れる単語、言葉のイントネーション、表情、身振り手振り、状況からの推察、何度もゆっくり繰り返してもらって、言い換えをしてもらい、それでも無理なことがあるかもしれません。
リスニングのできない初期のころは、相手の言っていることを理解するために、ものすごい集中力を使います。
今、私は、楽になってきているので、椅子にのけぞりながらオンライン英会話を受けていますが、はじめたころの数ヶ月は、眉毛の間にシワを作って、画面に顔をくっつけるほど前のめりでした。
相手の言っていることと見当違いの答えを返すことや、言葉が出てこずだんまりになることもあります。しかし、三ヶ月もすれば、徐々に理解できるようになってきます。

だけど英語で話せないのに、どうすればいいの?

英語ができない人がいきなりオンライン英会話のスカイプの前に放り出されて、講師からHow are you?と聞かれ、ただ焦ってアワアワアワ・・・としか言えなかったとしても・・・・・・・OKなのです。
英語ができないからやっているのであって、仕方ありません。恥ずかしいことでもありません。
答えられなければ講師の方から、fine?、good?とか答えを聞いてくるかもしれません。
現実は映画やドラマのように、メキメキと英語が上達するわけがありません。
こういう初期の過程を経ずして、その先が来るはずはありません。

オンライン英会話をこれから始める人は英会話ができないことに躊躇するのではないかと思います。最初の階段の一段目が異様に高い状態なのですが、なだらかに、ソフトに、痛みなく、英会話をスタートしたいと望むかもしれません。
もしも英会話ができたとすれば、その先に興味深い世界が待っているかもしれません。新しいことへの挑戦というのは、不安でもありますが、ドキドキ、ワクワクすることでもあります。
一番最初の挑戦は、最初にしか味わえません。考えようによってはとてもエキサイティングなことです。

今、オンライン英会話は活気のある時期です。オンライン英会話業界も数年先はどうなっているか分かりません。もじもじしている間にも歳だけはとっていきます。今したいと思うことは、今しておくべきです。何も待つ理由はありません。

英会話は死ぬまで失敗の繰り返し

英会話をする上で、失敗はつきものです。その回数というのは数回とか数十回という単位ではありません。会話をするたびに失敗をし、数えきれないくらい失敗をします。
失敗してはダメだというのでは、英会話はできません。
この点、子供は有利です。失敗して恥をかくことを恐れません。格好をつけず、正直で、プライドも高くありません。
優秀な講師なら、英語を話すのをためらっていると、ずばり「間違ってもいいから、話せ」と言ってくれます。

オンライン英会話の生徒は、生徒であると同時にお客さんです。
生徒は教えられる立場なので、できなくて当たり前。しかもお客さんなので、講師は丁寧に対応しなければなりません。
講師にとっては忍耐が要りますが、それが彼らの仕事であり、その姿勢が、生徒の英会話向上を助けているのです。

英会話は学校の勉強ではない

日本人の感覚で英語と言えば、中学、高校の英語の授業を想像するのではないかと思います。
中学、高校で習った英語は確かに英語であり、その教育に対し一概に否定できるものではありません。
しかし、英会話という捉え方では、残念ながらあまり実践的とはいえないように思います。

日本人(と、実は講師も)は、オンライン英会話においても、学校の授業と同じように捉えているような気がします。
会話ではなくテキスト重視。アーティクル(インターネット記事を題材にした学習法)をやっても、単語の意味や発音の勉強中心になりがちです。
特に、文法を理解することが英会話をできることだと信じて止まない人もおられるのではないかとすら思います。
文法は不要だとは決して言っていません。ですが、文法だけやっても意味がありません。確かに文法は英会話を強力に助けます。しかし文法だけで会話ができるようにはなりません。

私は文法や語彙の勉強を、継続的にすることをおすすめします。でもそれ以上に会話練習することをおすすめします。
その割合は1:9くらいで会話を中心に置くのがいいのではないかと思います。1時間やるなら、小難しい勉強は5分程度で十分です。残りは英会話を楽しんでください。
仮に今、助動詞canを勉強したとします。おそらくcanはどういう時に使うのか、疑問文の作り方、否定文の作り方を習い、canを使ってセンテンスをいくつか作るようなトレーニングをするかもしれません。それで、その瞬間から今後、助動詞canが使えるようになったかと言えば、そうは問屋がおろしません。使わなければどうせ忘れます。翌日や一週間後ならまだ覚えているかもしれません。一月経ってから、canは何だったかと問われて、言われてみれば思い出すかもしれないような状態をcanが使えているとは言いません。
実際はcanだけではありません。willやshould、may等、助動詞はいろいろありますし、文法は助動詞だけの話ではありません。語彙やイディオムやら覚えることはたくさんあります。それらを馴染ませていくには、頻繁に使っていくことが必要なのです。
ですから一日に学習する文法や語彙はわずかでよく、それでも日々積み重なっていくとなれば分量も日増しに増えていきます。ずっと前に学習したことを忘れないようさらに定着させ、新しく学んだことは新たに定着させていかなければなりません。それでも忘れることは避けられないでしょうから、再度、文法や語彙を学習しなおす機会も必要です。

会話に必要な能力を習得、維持するためには、大量の会話をして使う機会を多くし、馴染ませていかなければなりません。
幸い、オンライン英会話は楽しいです。笑いだけでなく、講師に腹をたてたり、病気や退職等、悲しいこともありますが、そういうことも含めて、オンライン英会話は楽しいのだろうと思います。
オンライン英会話は会話練習にうってつけなのです。

初心者のフリートーク

フリートークは楽しいのかもしれないが、そもそも初心者は英語で会話できないではないか。という声があるかもしれません。
これは勘違いだと思います。程度にもよりますが、実は単発の単語だけでも英会話はできます。そんなのでいいのかと言えば、いいと思います。単語しか出てこないような時期は最初の数ヶ月です。最初の数ヶ月は度胸や慣れを作る期間です。むしろちょうどいいのです。

フリートークだけやっていればいいのか?

私はフリートークという英会話の学習方法がパーフェクトとは考えていません。
フリートークだけでは、知っている言い回しや単語しか使えません。フリートーク中に講師がせいぜいひとつかふたつ程度、何か新しいことを教えてくれるかもしれませんが、それでは不足するかもしれません。
とはいえ、語彙や文法の勉強は、独学や他の学習教材でもできます。書籍をあたるのも良い方法ですが、今の時代、親切なウェブサイトが無料で解説しています。映像や音声で教えて欲しければYouTubeに動画があります。
オンライン英会話はアウトプットの機会であり、実践に近い英会話の練習場として活用するのが一番効果的であると同時に、これほどのものは他にありません。

文法をオンライン英会話で習うのは、ひょっとすると現役の中高生には多少意味があるかもしれません。
しかし、オンライン英会話で文法を習うということは文法解説そのものも英語です。
例えば、be動詞は主語によって変化しますが、生徒がなぜそのようになっているのか疑問を持ったとしても、be動詞の変化を習っているような生徒が、まずそれを英語で講師に訴えることが難しいでしょうし、英語で解説されて理解できるとも思えません。
日本語で言ってもらえればあっけないことでも、英語で理解するのは大変です。

そのようなわけで、オンライン英会話による文法解説は、文法を理解するものとしては、効率的ではないかもしれませんから、オンライン英会話はフリートーク中心としても、それ以外に軽く補足的な学習をしておくのは良いと思います。

オンライン カランメソッド効果で本当に4倍速く英会話が身につく?

カランメソッドの宣伝文句のひとつに「通常のレッスンと比較して、生徒が話す時間が4倍多い。だから4倍速く英会話が身につく」というのがあります。
その「話す」というのが何を意味しているかというのがありますが、少なくともカランメソッドは、実際の英会話ではありません。講師の言ったことをそのまま反復したり、カランメソッド用の定型的な文を口から発します。それは実際のコミュニケーションの言葉ではありませんから、ニュアンス的には「話す」というより、「口から英語を発する」という言い方がふさわしいように思います。
たとえ現実的な会話でないとしても、とにかく英語を口から発するということは、英会話の上達において効果がないわけではありません。特になめらかな英語の発音トレーニングにはなるように思います。

ただ、英会話学習者が何を求めるかという観点で考えると、カランメソッドがそれに期待できるものなのかは疑問があります。
英会話というのは口から英語を発している行為ではあります。しかし、口を動かすという表面的に分かりやすい物理的現象だけで成立しているものではありません。脳が言葉や発すべき音を考えだし、口はアウトプットのためのスピーカーを担っています。言葉を作り出している中核にあるのは脳の働きです。
口を4倍の時間動かすというのは、明確で分かりやすい話ですから、英会話というのをよくご存知ない方にとって、意味を取り違える危険性があるのではないかと思っています。

英会話に必要な脳の働きとは何でしょうか?
語彙、文章作成力、瞬発力・・・
そうした能力は必要ですが一部分でしかないと思います。これもまた、そういう分かりやすいものだけではありません。
例えば、口を動かすのと同時進行で次に言う言葉を考える能力、適切なニュアンスを持つ表現の選択、感情を込めた表現、相手の言いたいことの理解、相手の言った言葉を受けた上での適切な言葉の選択、言葉とシンクロした顔の表情、相槌・・・
コミュニケーションとしての英会話では、すべてを列挙するのが困難なほど多様なノウハウを駆使しています。英会話に必要な個別の技能すべてを体系的に整理して列挙することができるものなのか私には分かりませんが、できるとしても英語で会話している過程を頭のいい誰かがそれ相応の時間をかけて学術的に分析しなければできないような気がします。
しかし、実は英会話を習得するために、そうした要素を列挙する必要はありません。
なぜなら、実際に英会話を行えばよいからです。英会話をするということは、英会話に必要なすべての要素を鍛えることそのものです。カランメソッドでは、英会話をしていないのですから、英会話に必要な部分を網羅していないのは当然と言えば当然です。

カランメソッドというのは、英会話をトータルで練習できるものではなく、英会話に必要な一部の能力のみを集中的に鍛えるものであり、スポーツで言えば、素振りやウェイトトレーニングに相当します。ファッション的な意味で体に筋肉をつけることが目的なら別ですが、競技の実践の場を想定した筋力強化であれば、筋肉だけつけることは、目的と手段を取り違えています。
カランメソッドで鍛えられる部分を鍛えるのは結構なことだと思います。
しかし、いくらそういうことをやっていても、いつまでたっても英会話はできるようになりません。

要するに私が強調したいのは、カランメソッドをすれば、英会話ができるようになる。という非現実的な勘違いをしがちなので、そこを留意しておいてはどうかということです。
カランメソッドをしたい方や、今されている方には、それを全面否定はしませんが、効果が限定的かもしれないということと、固執し過ぎず、時には柔軟に考えてみることをおすすめします。