2019年9月13日金曜日

HTC Vive Cosmosの予約開始 詳細スペック判明 買いか?

2019年9月12日、海外ではHTC Vive Cosmosの予約が始まりました。価格は699USDです。日本では公式ウェブサイトも更新されており、9月20日午前10時から予約が始まります。価格は税別で89,882円。税込では97,073円、10月以降は消費税10%ですから98,871円くらいになりそうです。その他、送料等がかかるかもしれません。


初期のHTC ViveやHTC Vive Proまではベースステーションを使ったトラッキング方式を採用していましたが、HTC Vive Cosmosでは、インサイドアウトトラッキング方式が標準となります。HMDに内蔵したカメラで捉えた周囲の映像から、HMDの動きを推定すると同時に、手に持ったハンドコントローラーのLEDのパターンを撮影してトラッキングします。この方式であれば、ベースステーションの設置が不要になりますので、VR環境のセットアップが容易になり、可搬性も高まります。よくあるWMRのHMDでは、HMDの前面に2つのカメラを搭載しているものが多く、その場合、ハンドコントローラーを頭の上や、腰のあたりまで下げてしまうとカメラの撮影範囲から外れてトラッキングが狂ったり、ロストしてしまいます。HTC Vive Cosmosでは、前面に2つのカメラだけでなく、上下に2つ、左右に2つと計6個のカメラを搭載しており、ハンドコントローラーを頭の上や、下の方に持って行っても最大限追跡できるようになっています。こうしたところは、HTCだけあって、激しいゲームでの実使用感を考えて作られています。それでも、背中に回したり、カメラとコントローラーの間に腕や脚が入るような姿勢があった場合には、ロストする可能性があります。そのような場合も考えてか、オプションとして従来のベースステーションを用いたトラッキング方式も使えるようになっているようです。これは外部トラッキングモッドという、拡張モジュールという形で実現されており、将来的には、これを活用した思いがけない使い方が登場するかもしれません。

ディスプレイの解像度は両目で2880×1700です。片目ではその半分の1440×1700となります。HTC Vive CosmosのライバルとなりえるOculus Rift Sの1280×1440より少し解像度が高いです。HTC Vive Proの1440×1600からは微増です。視野角(FOV)は従来と変わらず110度、リフレッシュレートは90Hzとなります。
公式サイトでは、「Real RGB」と宣伝されていますので、ペンタイル方式ではなく正真正銘のRGBディスプレイということだと思います。ピクセルの隙間であるスクリーンドアエフェクトも最小化されています。
HMDのディスプレイ部分はフリップアップ機構で持ち上げて、HMDを脱ぐことなく現実世界に戻ることができます。現実世界とVR世界を素早く行き来できそうです。
IPDの調節も可能です。

高音質のスピーカーも搭載しています。

両手に持つコントローラーは独自のデザインで、親指部分がパッドではなくスティックになりました。トリガー部分が2つのボタンになっているようですが、それはサイドボタンが移動しただけかもしれません。

その他、VIVEPORTへのアクセス権がついています。VR HMD購入初めて方にとって、最初からたくさんのソフトを使えるというのは、大きなメリットだと思います。



ディスプレイの解像度が1440×1700でFOVが110度というのは、なかなかの性能ですが、他のHMDと比較して驚くほどではありません。特に価格が10万円近いことから考えると、物足りない気もします。解像度を上げれば、CPUやGPUの要求性能も高くなってきますから、視線追跡等による3Dグラフィックスの描画軽減技術が実用的ではない現状では、このあたりがバランスなのかもしれません。
コントローラーやサウンドについて、特に革新的な挑戦はみられません。
基本的に今までの延長戦上での正常進化という域を脱していないように思いますが、そんな中で、今まで見かけなかったものはMODによる拡張性です。さすがにディスプレイパネルを取り換えられるほどの拡張性はないと思いますが、拡張インタフェースの仕様や、そのサードパーティーへの公開、実際にどのようなオプションが考えられるのか、HMD自体の寿命への貢献があるか等が気になります。

他社、VR HMDとの競争では、やはり価格がネックになると思います。Oculus Rift Sは、ほぼ半額で購入できます。それで普通にVRゲームを遊ぶことはできますから、ライトなVRユーザーであれば十分です。むしろライトなVRユーザーにとって、5万円ですら安くありません。
アドバンテージは解像度が少し高いことですが、10万円という価格を安く思わせるほど、ずば抜けたものではありません。
高性能なスピーカーが、HMDに付属しているのは便利ですが、私の個人的な価値観で言えば、不要です。手持ちのより高品質なヘッドフォンを使えれば問題ありません。むしろHMDにスピーカーが付いていることで、装着しにくかったりします。スピーカーはなくして価格を安くしてもらった方がありがたいくらいです。


私自身は初期型のHTC ViveとHP Reverbを持っています。
ガンガン遊ぶゲーム用途として、初期型のHTC Viveの置き換えとしてこのHTC Vive Cosmosは候補の一つになりえます。
HP Reverbの方は、フライトシミュレーター等の高画質を要求される用途で使っていますが、ゲームをターゲットとしたHTC Vive CosmosのようなHMDではまだ置き換えられなさそうです。

HP Reverbについては、 HP Directplus -HP公式オンラインストア- をご覧ください。
最近のHMDの比較表は別の記事「高解像度VR HP ReverbでX-Plane 11を飛んでみた」に掲載しています。