2012年9月21日金曜日

スピードラーニングとロゼッタストーン 口コミで評判の教材の効果

先日JAFから送られてきた会報誌を見ていると、スピードラーニングという英語教材の広告がありました。
先日の記事でロゼッタストーンの宣伝について、物言いを付けましたが、スピードラーニングの広告もなかなか笑わせてくれます。
絵に描いたような典型的なストーリー展開が書かれています。
スピードラーニングというのは、音声をひたすら聴き続けることで英語学習ができる教材のようなのですが、それを聴き続けていたら、ある日、自然に口から英語が出てくるようになっていたという、いかにもありがちな夢物語が書かれています。

バカバカしい。ありえません!

いやいや、100%ないとまでは言ってはいけません。しかし、そのようなことがあるとすれば非常に限られた条件下でしょう。はじめから英文法が相当に分かっていて、発音もある程度できていて、ほとんど話せる寸前まで英語力があるような状況です。
これは多くの人が期待する学習効果とは程遠いものです。

英語と日本語は言語体系がぜんぜん違います。
単語は、意味が一対一で対応しているわけではありませんし、文法はまったく異なります。口からの音の出し方も日本語とはことごとく違います。
はじめのうちの英会話は、日本語で言葉を思いついて、頭の中で該当する英語に翻訳します。
例えば「これを食べてもいいですか?」を英語で言えばどうなるでしょうか?
直訳すれば
「Is this a good thing to eat?」のような感じです。ぎこちないです。
実際は
「Can I eat this?」の方が自然です。日本語に逆直訳すると
「私はこれを食べることができますか?」
になってしまい、これもちょっと不自然な言い回しになってしまいます。

「これを食べてもいいですか?」を、あなたはすぐに英語にできましたか?
あなたができるか、できないかが論点ではないので、それはどっちでもいいのですが(←なら聞くな)、このような簡単なことだったとしても、はじめは絶対に口から出てこないということを言いたいのです。
はじめは、言いたい気持ちがあっても、「あ~…」とか「え~…」とか言いながら、考えてからでないと言葉がでません。英語でどのように言うか分からないからです。

いちいち日本語を英語に翻訳することなく、はじめから直感的に英語で言えるようになるには、英会話で1回や2回、フレーズを使っただけでは無理です。
実際の生活の中で繰り返し話すことで、自分のものとして定着します。

聞いただけでできるようになる。私なんかはそんな天才ではありません。
「自動車の運転の仕方を見たり聞いただけでできる」「包丁の使い方を見たり聞いただけでできる」
そういうのと似たような、非現実的な話だと思います。
英会話は修練です。壊れたカタコトの英語からはじめて、少しずつ使えるフレーズが増えていきます。いきなりパーフェクトからスタートしません。
自動車の運転もはじめのうちはできませんが、教習所で安全なレベルまで練習し、日常生活で運転をしていくなかで、徐々にうまくなっていきます。包丁もはじめは軽快にトントンと扱えません。でも、いずれ誰でもできるようになります。それは練習するというよりは、実際にやっていく中で自然とうまくなっていくのです。
英会話であっても、実際に喋らないでうまくなるわけがないということは、普通に考えて分かることです。

私はロゼッタストーンという英語の教材を使っています。こちらにはスタジオやワールドで、生身の人間を相手に英会話をしてみることができます。
当然、英会話をしたことがない人間が、英語をまともに話せるはずがありません。ネイティブコーチを相手に現実にそうした予想できる悲劇が起こります。

ちなみに、ロゼッタストーンのネイティブコーチは日本語をまったく話せないので、英会話が成立しなかった時、多少の努力はしてみるものの、最終的にはどうすることもできません。つまり、その会話はスキップして、他の人に移るか、次の課題へ進むしかありません。
たとえそうであっても、現実に自分の口から英語を話す訓練をする機会があることは、圧倒的な効果があると思います。
「How is the weather today?」と聞かれて
はじめは「あわあわあわ…」となり、次は「お~、え~、サ、サニー」、そのうち「イッツ、サニ・・・いやクラウド・・・クラウディー」となっていくのです。失敗を繰り返して上達していきます。何回もがっくりしながら成長していきます。

ロゼッタストーンの宣伝をしたいわけではないので、それは置いとくとしても、実際に会話で使わなければ英会話をできるようにならないという当たり前の話です。
う~ん・・・英語を日常で使う環境にある人であれば、スピードラーニングを聞くことで、いろんなフレーズを知ることができたり、聞いたことがある似たフレーズを再リスニングできて、意味を理解することの反復練習になったりするので、役に立つことがあるのかもしれません。
現実的な話として、本当の意味で英語を話せない人が、話す練習をすることなく、話すことができるようになるというのは、ありえません。