2013年12月5日木曜日

オンライン カランメソッド効果で本当に4倍速く英会話が身につく?

カランメソッドの宣伝文句のひとつに「通常のレッスンと比較して、生徒が話す時間が4倍多い。だから4倍速く英会話が身につく」というのがあります。
その「話す」というのが何を意味しているかというのがありますが、少なくともカランメソッドは、実際の英会話ではありません。講師の言ったことをそのまま反復したり、カランメソッド用の定型的な文を口から発します。それは実際のコミュニケーションの言葉ではありませんから、ニュアンス的には「話す」というより、「口から英語を発する」という言い方がふさわしいように思います。
たとえ現実的な会話でないとしても、とにかく英語を口から発するということは、英会話の上達において効果がないわけではありません。特になめらかな英語の発音トレーニングにはなるように思います。

ただ、英会話学習者が何を求めるかという観点で考えると、カランメソッドがそれに期待できるものなのかは疑問があります。
英会話というのは口から英語を発している行為ではあります。しかし、口を動かすという表面的に分かりやすい物理的現象だけで成立しているものではありません。脳が言葉や発すべき音を考えだし、口はアウトプットのためのスピーカーを担っています。言葉を作り出している中核にあるのは脳の働きです。
口を4倍の時間動かすというのは、明確で分かりやすい話ですから、英会話というのをよくご存知ない方にとって、意味を取り違える危険性があるのではないかと思っています。

英会話に必要な脳の働きとは何でしょうか?
語彙、文章作成力、瞬発力・・・
そうした能力は必要ですが一部分でしかないと思います。これもまた、そういう分かりやすいものだけではありません。
例えば、口を動かすのと同時進行で次に言う言葉を考える能力、適切なニュアンスを持つ表現の選択、感情を込めた表現、相手の言いたいことの理解、相手の言った言葉を受けた上での適切な言葉の選択、言葉とシンクロした顔の表情、相槌・・・
コミュニケーションとしての英会話では、すべてを列挙するのが困難なほど多様なノウハウを駆使しています。英会話に必要な個別の技能すべてを体系的に整理して列挙することができるものなのか私には分かりませんが、できるとしても英語で会話している過程を頭のいい誰かがそれ相応の時間をかけて学術的に分析しなければできないような気がします。
しかし、実は英会話を習得するために、そうした要素を列挙する必要はありません。
なぜなら、実際に英会話を行えばよいからです。英会話をするということは、英会話に必要なすべての要素を鍛えることそのものです。カランメソッドでは、英会話をしていないのですから、英会話に必要な部分を網羅していないのは当然と言えば当然です。

カランメソッドというのは、英会話をトータルで練習できるものではなく、英会話に必要な一部の能力のみを集中的に鍛えるものであり、スポーツで言えば、素振りやウェイトトレーニングに相当します。ファッション的な意味で体に筋肉をつけることが目的なら別ですが、競技の実践の場を想定した筋力強化であれば、筋肉だけつけることは、目的と手段を取り違えています。
カランメソッドで鍛えられる部分を鍛えるのは結構なことだと思います。
しかし、いくらそういうことをやっていても、いつまでたっても英会話はできるようになりません。

要するに私が強調したいのは、カランメソッドをすれば、英会話ができるようになる。という非現実的な勘違いをしがちなので、そこを留意しておいてはどうかということです。
カランメソッドをしたい方や、今されている方には、それを全面否定はしませんが、効果が限定的かもしれないということと、固執し過ぎず、時には柔軟に考えてみることをおすすめします。

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