2016年5月9日月曜日

SONYのノイズキャンセリングBluetoothワイヤレスヘッドフォンMDR-EX31BN レビュー 飛行機での試用

外出先でAndroidスマホ用にヘッドフォンが欲しかったので、SONYのMDR-EX31BNを購入してみました。
耳の穴に差し込むインイヤータイプです。イヤーキャップは3サイズ用意されていて、私には一番大きいサイズが合いました。

・Bluetoothワイヤレスは快適
Bluetoothによるワイヤレス接続なので、手に持って操作することの多いスマホの扱いが自由になるのはかなり便利です。
ただし、Bluetoothですので若干の遅延があります。音楽を聴く分には気になりませんが、アクションゲーム等のタイミングがシビアな使い方では問題になる可能性はあります。激しいゲームをされる方はBluetoothヘッドフォンは使わない方が無難だと思います。

・デジタルノイズキャンセリング
デジタルノイズキャンセリングにより周囲のノイズを強力に消し去ります。
航空機や自動車内で試用したところ、特にエンジン音が大幅に抑えられます。ヘッドフォンをつけていると静かで快適でした。車の運転中の使用にはさすがに危険を感じますが、航空機内では手放せなくなりました。
ノイズキャンセリングは手元のリモコンで、オン/オフができ、危険な状況ではオフにして使用することもできます。また、状況に応じたノイズキャンセリングモードを自動選択する機能も備わっています。

一般的なヘッドフォンに搭載されたアクティブノイズキャンセリングというのは、人の話し声というのは消せないことが多いです。よく人の話し声は何かとっさの時に危険なので、あえてキャンセルしないようにしているということが言われますが、現実には、わざと消さないようにしているのではなく、技術的に難しいのではないかと思います。現に、人の声を消すことができることやってみせた上で、人の声を通すように再設定できるようなアクティブノイズキャンセリング技術は見たことも聞いたこともありません。
そもそも本質的に人は他人の声を聞き取る能力が高い必要があり、人の声には敏感です。そういう意味でもなかなか人の声を聞こえないようにはできないのではないでしょうか。
MDR-EX31BNについても同様で、人の声を消す目的にこのヘッドフォンを使うとすれば、耳の穴をふさぐことによる防音効果と、ノイズキャンセリングで音量を弱めた上で、音楽や他のシンプリーノイズ等を再生して、声をかき消すことならできるかもしれません。

また、マイクで集音した波形と逆位相の波形をリアルタイムに生成するという原理から、連続的でない、とがったような音や高音域は苦手になりがちです。
キーボードのタイプ音のような、カチカチと波形的にシャープな音は、アクティブノイズキャンセリングではほとんど消せません。

・音質は良
音質はSONYの一般的な音質です。SONYの音に慣れている私には標準的な音に聞こえるので違和感がありません。インイヤータイプの小さなヘッドフォンですから、重低音なんてものは期待していません。
Bluetoothですが、クラシック音楽をしっかり聞くようなことはしないですし、BGM的に使っている分には気にならず十分に高音質です。

・操作性
本体には、電源兼再生停止ボタンと、選曲、音量、ノイズキャンセリングのスイッチがあります。これらは大変便利で、慣れてくると見なくても手探りで操作できます。ワイヤレスですから特に活きてくると思います。

・欠点は?
使うには充電が必要です。一回の充電で何時間ももつので、一日一回で大丈夫ですが、USBコネクタをつないで充電する手間があります。
ワイヤレスと言っても、本体と両耳の間はケーブルがあります。収納時にケーブルが絡まったりするような問題は完全には解消されません。

・結論
ワイヤレスでデジタルノイズキャンセリングが搭載されたSONYの高音質な、普通に問題なく使えるヘッドフォンですので、ほとんどの方におすすめできます。

2016年3月8日火曜日

Saitek Pro Flight Yokeのデッドゾーン問題をBU0836Xで解決

近頃すっかり下火になったフライトシミュレーターですが、最近、無性にやりたくなって、X-PLANEというフライトシミュレーターを購入してみました。
フライトシミュレーターを楽しむには、ジョイスティックが必要です。昔買ったSaitekのCyborg Xというジョイスティックを引っ張りだしてきました。ところが、Windows10に対応させるドライバーが提供されていなくて、使うことができません。このCyborg Xは写真での見た目にはサイバーなデザインでかっこ良く見えるのですが、実物は作りがしっかりしておらず、使い良いものではありません。
ともかく、ジョイスティックが使えないので、また買い直すしかなくなってしまいました。ドライブゲームでのハンドルコントローラー代わりも兼ねて、今度はフライトヨークというハンドル型のフライトシミュレーター用コントローラーを探してみることにしました。
今時、フライトシミュレーター関係のコントローラーなんて、売っているところはないですが、Yodobashiにあるようなので、実際に店頭に行って、SaitekのPro Flight Yokeという製品を購入しました。他にSaitekのPro Flight Cessna Yokeという製品もあり、ハンドルの回転角度が左右90度まで曲がるので、そちらの方が良さそうだったのですが、売り切れていましたので、しかたなくPro Flight Yokeの方を購入しました。

それで、Pro Flight Yokeでフライトしてみるのですが、左右にフラフラ揺れたり、ピッチのコントロールもとてもやりにくいです。
機体が左に傾いた時、ヨークを右に切ると、右に大きく傾きすぎ、それを修正するために左に切ると、今度は左に傾く、といったことを繰り返してしまいます。
車のドライビングゲームでハンドルコントローラー代わりとして使った時も、車をまっすぐ走らせるのがとても難しいです。

このヨークはエルロンとエレベーターにスプリング入っていて、手を放すとスプリングでセンター位置に戻ります。しかも、曖昧な中心感覚ではなく、ここという位置でカチッと止まります。これでは、センター付近のスプリングが切り替わる位置でスムーズなコントロールができません。
また、片手による微妙な操作ができないほど、スプリングが強すぎます。スロットルを併用したクロスコントロールは筋力トレーニングになってしまいます。
そうしたことから、機体がふらついたり、車がまっすぐ走らない原因があるのではないかと考えました。
Pro Flight Yokeの裏蓋を開けて、エルロンのスプリングを取り外して、センターに戻らないようにしました。エルロンは自分でセンターが分かるので、もともとスプリングは不要です。エレベーターはスプリングを取り外し、代わりに輪ゴムを使って強度を落とすとともに、センターが曖昧になるようにしました。
Pro Flight Yoke自体の操作感はだんぜん良くなったものの、それでもまだ、実際に飛行機を飛ばしたり、車を運転した時の操作感が改善されません。

キャリブレーションか何かでどうにかならないか調べていたところ、Windowsの「ゲームコントローラーの設定」で、おかしい部分があることを発見しました。
Windowsのゲームコントローラーの設定では、エレベーターとエルロンの位置を+記号で表示しているのですが、これがセンター付近で動きません。エルロンを左から右に一定速度で動かした際に、センター付近で+記号が動いていません。エルロンの中心から左右10度程度デッドゾーンがあるようです。エレベーターについても同じです。
関連する情報がないか、ウェブサイトを探していたら、海外のフォーラムで古くから話題になっていました。
それによると、Pro Flight Yokeのファームウェアのキャリブレーションプログラムがそのようになっているのではないかという結論です。書き換え不可能なファームウェアがそのようになっているため、パソコンにセンター付近の入力データ自体が入ってきていません。ですので、デバイスドライバー等によるパソコン側のソフトウェアでどうにかして解決するような方法はありません。お手上げです。

センターにデッドゾーンがあっては、まともな操作は不可能です。
たとえば、本当の自動車の場合、ハンドルには遊びがあります。しかし、フィードバックもあるため、ドライバーはハンドルの重みから切れる強さを感じることができます。
Pro Flight Yokeにはフィードバックがないため、どこから切れだすのかが分かりません。
道なりにまっすぐ走行している車を少し左に進路変更したいと思い、ハンドルを左に切り始めたとしたら、数度回した位置で、画面の車体が動くことでハンドルが効きはじめることが分かります。車体は左へ動いていくので、今度は道なりにまっすぐに戻すため、ハンドルを右に切るのですが、センターのデッドゾーンを超えて数度右へ回したところで、ようやくハンドルが効きはじめます。
左右にちょっとずつハンドルを切って微調整しながらまっすぐ走行するシーンは普通にありえるのですが、デッドゾーンがあるために、操作が困難です。
左に行き過ぎたと思って、右に切っていってもデッドゾーンの中ではまったく効かず、あるところで突然ハンドルが効き始めます。それで左に戻そうとしても、またデッドゾーンを経て、あるところまで切っていったところで、突然効き始めます。その効き始める位置にフィードバックがないため、感覚的に効き始めることを知覚することができず、左右にオーバーコントロールを繰り返して、フラフラとした運転になってしまいます。

まともに操作できないとなると、フライトシミュレーターもドライビングゲームもやろうという気が起きなくなってしまいました。もはやPro Flight Yokeはただの粗大ゴミです。
以前買ったジョイスティックCyborg XのクオリティーやWindows10対応のドライバーが提供されない件、それと今回のことから、今後私はSaitek製品の購入には、かなり慎重になると思います。

海外のフォーラムで話されていた唯一の解決策は、Pro Flight Yokeのセンサー部分までは使うが、それ以降はBU0836Xというジョイスティックボードに置き換えるというものです。その方法であれば良好なようです。最後の手段として、Pro Flight Yokeを使えるものに変えられるか試してみることにしました。
BU0836Xは自作でコックピットを作るような人のためのボードで、8軸のアナログ入力、32のデジタル入力、8方向のハットスイッチ入力を配線することができて、それをWindowsのゲームコントローラーとして認識させるものです。
こちらのサイトから購入しました。49.99GBPとエアメイルの送料5.95GBP合わせて55.94GBP、日本円で9千円くらいでした。Saitek製品のクオリティーのために要らぬ散財です。なぜかPayPalでは支払いができなかったので、クレジットカードを使いました。
エアメイルですと料金は安いですが、到着に時間がかかり、追跡もできません。約一週間でイギリスから送られてきました。
もう少し安いBU0836Aの方でも使えるかもしれません。そちらの場合、接続がピンコネクタによるものになりますが、パソコンのパーツショップあたりで使えそうな部品を探してきた方が、ひょっとすると安上がりになるかもしれません。

先ほどのフォーラムに配線方法の写真があったので、それを参考に作業しました。
もともとハンダ付けされている配線をハンダゴテで溶かして外した後、新しいリード線をハンダ付けしなおします。そして付け直したリード線をBU0836Xに配線します。
BU0836X自体はPro Flight Yoke内にあるビスで固定しておきました。
BU0836Xとパソコンを繋ぐのにBタイプのUSBケーブルが必要です。とりあえずプリンターのUSBケーブルで代用しました。
ハンダゴテでケースの一部を溶かして穴を開け、USBケーブルをケースの外に出しました。
BU0836Xを接続すると、Windows10にはゲームコントローラーとして認識されます。ゲームコントローラーの設定からちゃんとキャリブレーションをとることができます。
X-PLANEやドライビングゲームで試したところ、当然ですが、中心付近の微妙なコントロールができるので圧倒的に操作しやすくなります。操作しやすくなるというよりは、ようやくまともに操作できるようになったと言った方が正しいかもしれません。

これから、SaitekのPro Flight Yokeを購入しようとする人がおられた場合、おすすめしません。センター付近にデッドゾーンがあるのはSaitekに言わせれば仕様ということになるのでしょうが、致命的な操作性の悪さです。
すでに購入してしまった人は、あきらめて粗大ゴミとして出してしまうか、追加投資と手間をかけてまで、上記のような対応をとるかということになってしまいます。

2016年2月21日日曜日

VAIO Duo 11のシートバッテリーの代わりにモバイルバッテリーを増設

私が使っているSONYのVAIO Duo 11は、バッテリー残量80%から2~3時間連続使用(カタログスペックではなく実運用において)できます。負荷の高いゲームなら1時間くらいです。使用可能時間をもっと増やしたいと思って、シートバッテリーを購入しようと思ったのですが、すでに生産中止となっています。サードパーティ製のバッテリーですと25,896円とのことで、純正が入手困難になっているため、足元を見られている感じです。

近頃は大容量のモバイルバッテリーがあります。そうした中で使えそうなものがないかと探してみると、Energizer XP18000という製品がありました。VAIO Duo 11のACアダプターと同じ10.5V出力があって、プラグの変換チップの中に外径4.7/内径1.7mmというものがあります。VAIO Duo 11のACアダプターの出力プラグは外径4.8/内径1.7mmですから、少しばかりサイズが合いません。でも、わずか0.1mmの差ですから、ひょっとしたら使えるかもしれないと思って購入してみました。

このモバイルバッテリーを購入

購入して、接続してみたところ、残念ながら動きませんでした。
プラグの外径が合っていないわけですから、接点が接触していない可能性があります。プラグをグリグリ動かしてみたりしましたが、反応がありません。

モバイルバッテリー付属の4.7mmのプラグ変換チップ

プラグの問題ということであれば、プラグだけ変えれば済む話です。
外径4.8/内径1.7mmのプラグをこちらから発注しました。

発注した外径4.8/内径1.7mmのプラグ

Energizer XP18000付属の12Vコードをハサミでプッチンして、銅線をこのプラグに繋ぎます。どうか接触不良にはならないことを期待します。

接続して試したところ、それでもダメです。反応しません。
ほぼあきらめかけて、なにか情報がないかインターネットで調べていたら、Energizer XP18000を紹介しているウェブサイトの中には10.5V出力ではなく12Vと書かれている記事があります。よく調べていくと、Energizer XP18000ではなく、Energizer XP18000Aという末尾にAが付いた商品名のものがあり、その場合は12V出力になっているようです。
私が購入したのはEnergizer XP18000Aの方で12V出力です。10.5V出力タイプのEnergizer XP18000はAmazonで取り扱い中止になっていましたので、すでに販売していないのかもしれません。気が付かず12Vの方を買ってしまいました。

実際に何ボルト出ているのかテスターで確かめてみました。

使用したテスター

測定すると、やはり12Vが出ていました。
ならば、その12Vを10.5Vに降圧します。
DC-DC 直流電圧 コンバータ 降圧型 5v-24v → 0.93v-18v」を使います。
このDC-DCコンバーターは、5~24Vの範囲の入力を0.93~18Vに降圧できます。説明書は付属していませんが、使い方は簡単です。入力側と出力側に+、-端子がありますので、マイナスドライバーで接続端子のネジを締めて、コードの銅線を接続します。出力電圧の調整は、テスターでモニターしながら、調整ネジをマイナスドライバーで回すことで行います。

VAIO Duo 11に10.5Vが入ると、ようやく反応しました。
しかし、一見うまくいったように見えたのですが、ちょっと負荷がかかるとすぐに電源入力が止まってしまいます。
Energizer XP18000Aの出力が追いつかないため、電圧降下しているようです。使っていない時に充電するだけならこれでも使えそうですが、使いながら電源供給するには問題があります。

Energizer XP18000Aの背面に貼ってあるラベルには12Vは2Aとあります。つまり、24Wでは足りないようです。しかし、その下に19Vで3.5Aと書いてあるのを見つけてしまいました。19Vなら3.5Aまで供給できるみたいです。VAIO duo 11用ACアダプターの10V4.3A=43Wを超える66.5Wですので、これならいけるかもしれません。

Energizer XP18000Aの裏側ラベル

さっそく、19Vのケーブルをハサミでプッチンして付け替えてみたところ、使えました。高負荷時でも、電源供給できています。
当初の目的である外部バッテリーの接続を達成できました。
(2016/03/03追記 高負荷時は電源供給が追い付かないことがあります。)

必要になったものは
Energizer XP18000A 15,790円
外径4.8/内径1.7mmのプラグ+送料 575円
DC-DCコンバーター 656円
合計17,021円でした。折角購入したので外径4.8/内径1.7mmのプラグを使いましたが、ひょっとしたらEnergizer XP18000Aに付属の外径4.7/内径1.7mmのプラグ変換チップでもいけたかもしれません。
電圧を測るのに使ったテスターは2,000円くらいでした。

DC-DCコンバーターは100円ショップで買ったプラスチックケースに入れています(高温注意!)。

見た目はカッコ悪いです。冷却のため、穴を開けています。

VAIO Duo 11のバッテリーの仕様は7.4V/5,300mAh、純正シートバッテリーは7.4V/4,830mAhです。Energizer XP18000Aは3.7V/18,000mAhだと思うので7.4Vでは9000mAh相当です。数値上はシートバッテリーの2個分近い容量があることになりますが、Energizer内部や追加したDC-DCコンバーターによる変換ロスがあると思われますので、その分目減りするはずです。
バッテリー容量を検証するために、VAIOにCPU Stressで負荷をかけてテストしてみました。CPU StressはCPU使用率を100%にキープできるので、テストのために早くバッテリーを消耗できます。
Windows8.1の電力オプションはバランスモードでテストしました。バランスモードでは、Energizerのバッテリーで動いている間は電源接続扱いになるため、その分ハンディキャップになりますが、設定を変えるのが面倒なのでそのままテストしました。

まず、VAIO Duo 11が80%充電された状態で、満充電のEnergizerを接続するところから始めます。
開始して2時間47分(167分)後に、Energizerのバッテリーが尽き、内蔵バッテリーに切り替わりました。内蔵バッテリーは80%から減少をはじめていき、1時間13分(73分)後に10%となったところで、Windowsのバッテリー残量低下警告が表示されました。
内蔵バッテリーが10%になるまでに、Energizerで167分間動作し、内蔵バッテリーで73分間動作しました。
CPU Stressで負荷をかけなかったとすると内蔵バッテリーで2時間以上は持つと思いますので、それで考えるとEnergizerでプラス4時間以上、合計6時間以上はいけそうです。
電力オプションを調整したり、WiFiを止めたりすれば、バッテリーの持ちはさらによくなります。まだちゃんと試していませんが、実用上は8時間くらいもつのではないかと予想します。

重量についてですが、純正シートバッテリーは約345g、Energizer XP18000Aは約515gです。およそ1.5倍です。重量は増えますが、容量も増えますし、スマホ等のUSB電源としても使えるメリットがあります。

本当は純正品が一番いいのですが、今回のように十分な出力のあるモバイルバッテリーで電源を供給できるのであれば、かならずしも純正のバッテリーにこだわる必要がなくなります。容量や価格等、自由度が広がりますし、モバイルバッテリー自体を複数持てば、それだけ長時間使えるようにもできます。

VAIO Duo 11をご使用中の方で、バッテリー容量が欲しい方は、このような方法を試してみるのもありかもしれません。
簡単な工作でできるとは言え、保証はありませんし、ショートや逆接続等による事故もありえますので、十分ご注意ください。